急接近

1999.4.25 ・◆・A-Oku 


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「まずはどっちからだ?」
「わたしがやります。」
少女はコインを手に真剣な表情でグラスを見つめた。
(こぼれないでよ…)
コインはゆらゆらとグラスの底へと沈んでいく。セーフ。次は青年の番だ。
「お嬢ちゃんもなかなかやるな。」
手に取ったコインをそっとグラスに近づけていく。
少女は両手で頬杖をついてそれを見ていた。
「オスカー様はいつも女の方とこういうことをしていらっしゃるんですか?」
ポチャン。
音を立ててコインがグラスに沈み、その反動で液体が容器からこぼれ出た。
「…お嬢ちゃん。」
「私の勝ちですね。」
くすくすと少女が笑う。対する青年は憮然とした表情だ。
「今のは卑怯じゃないのか。」
「勝負は時の運。勝ちは勝ちですもん。」
(でも、これくらいで動揺するなんてオスカー様ってホントは…)



青年はグラスを手に取り、中の液体を一気にあおった。
「もう一回やろう」
「えー」
少女は不満の声をあげた。青年は頭を下げた。
「育成はちゃんとやる。だから、もう一回。」
少女はわざとらしく腕組みをした。
「どうしよっかな…」
「お願いします。」
青年はさらに深く頭を下げた。
「うーん……。いいですよ。」
「ありがとう。お嬢ちゃん。」
再び、グラスにワインが注がれて勝負が始まった。



「何故だっ。」
青年は頭をかかえた。
「ふふふっ。これで4連勝ですよ。」
少女は満面の笑みを浮かべている。
「…お嬢ちゃんは随分と強いんだな。」
「どこかの守護聖様に鍛えられましたから。」
「…これで最後だな。さすがに1週間連続で育成するのはまずいだろう。」
瓶の中身、最後のひとしずくまでがグラスに注がれた。



<さてここで質問です>

この勝負、勝ったのはどちらだったでしょうか?

A.アンジェ   O.オスカー



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