1999.4.25 ・◆・A-Oku
3o/3
「ああっ」
その瞬間、少女は悲鳴に近い声をあげた。
「俺の勝ちだな、お嬢ちゃん。」
「そうですね…」
「さて…と、お嬢ちゃん、約束だよな。」
「そうですね…」
少女は立ち上がると青年のそばまでやって来た。
「眼をつぶって下さい。」
「こうか?」
青年は目を瞑った。少女は顔を近づけて、青年の顔をまじまじと見つめた。
(このまま、逃げちゃおっか…)
そんなことを思ったときだった。不意に青年が目を見開いた。
薄い青色の瞳に見つめられ、少女はドキドキした。
「あの、オスカー様、目をつぶって下さい。でないと…」
少女の言葉は最後まで続くことはなかった。
少女の目の前が暗くなったからだ。
(!!!)
気づいたときには遅かった。青年を慌てて押しのける。
「ひ、卑怯者!」
青年は唇の片方だけで笑って見せた。
「最初に『卑怯者』な振る舞いをしたのは、お嬢ちゃんの方だろ」
「私、帰る」
少女はくるっと回れ右して駆け出していった。
「あ、おい、お嬢ちゃん。」
青年の言葉に振り向くこともない。
「気をつけて帰れよ。」
その言葉は夜の闇に溶けていった。
翌週、青年は5日間連続でエリューシオンを育成したのだった。
・◆ FIN ◆・
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