カッコイイって? +7+

2000.6.17 ・◆・ 神澄 裕紀 


+7+


聖地への帰り道、夢の守護聖は、目まぐるしい出来事を反芻していた。

「結果、オーライだったけど…。よくまぁ、あんな馬の群れが現れたよねぇ。
 あの男もあんな事は始めてだって…」

そこまで口にして、ハッとしたように隣のターバンを巻いた頭の方を見た。
相変わらず、彼は、のほほーんと人を食ったような笑顔をしている。

「いやぁー、やはり、火急の事態ほど、あの人が引き立つ状況はありませんからねぇ…。
 私もね、あんなに集まるとは思わなかったんですよ。
 いえねー、ゼフェルが持たせてくれたコレを、逆に作用させただけなんですけれど…」

そう言うと、手のひらに乗るほどの小さな機械を出して見せた。
淡々と語る彼に、夢の守護聖は若干の頭痛を感じながら問い返す。
「って…、なに?この機械?」


その質問に地の守護聖は、人の良さそーな、邪心のかけらもないような笑顔で答えた。

「はーぁ、この星は、野生動物も多いですからねぇー。
 簡単に言えば、音波による動物避けですかねぇー」
「なるほど…、それで、動物寄せしたわけね…。って、アンタってばっ!!
肉食獣かなんかが来たらどうするつもりだった訳?」

呆れかえる彼に、地の青年は事も無げに答えた。

「いえ、オスカーなら絶対に何とかカッコよく処理したでしょうし…。
 命に代えても陛下を守ったでしょうから。それに、アナタもいましたし…。
 最悪、またこれを使って追っ払えばいいわけですからねぇー」
「ねぇーって…。
 アンタ、オスカーになんか恨みでもあったワケ?」
「はぁ?とんでもない。カッコイイ炎の守護聖に全幅の信頼を置いているだけですよ」


と、地の守護聖は、相変わらず無邪気にニコニコと答えた。


その傍らで…。


この男は、大物なのか、学者ナントカなのか…と呆れると共に、
最悪の事態を想定して、背筋を寒くした『夢』の青年なのであった。


++ 6 ++ BACK



BACK ・◆・ HOME