G A R D E N I A

2003.8.4 葉魅兎

僅かの涼を求めて開け放った窓辺から、
どこか甘い風がゆっくりと入り込んでくる
寝苦しい暑いだけの深い深い夜に、
ホッと息をつくような、なお寝苦しくなるような

梔子の仄かに白い花弁が脳裏を過ぎり
それを教えた君の涼やかな声に繋がる

最近のオレの世界は、全てが君で構成されている

思い出すこと、覚えていくこと、
いつも君の笑顔と声が纏わりついて
胸を締め付けるような甘さと
噛み締めるような苦さが交じっていく

柔らかく香り立つ花を握り潰してしまうように
君を想う心を潰してしまえればいい
そうすればこの寝苦しい夜は、もうオレを苛まない


溶けていきそうな思考の果てに望むのは、君からの解放


それでも緩く暑さの漂う一人の部屋で、
甘い香りを締め出すこともできずに受け入れている

暑いだけの夜はまだ続く、それに少しだけホッとして
甘くて苦い寝苦しい夢を引き寄せる……


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