僅かの涼を求めて開け放った窓辺から、 どこか甘い風がゆっくりと入り込んでくる 寝苦しい暑いだけの深い深い夜に、 ホッと息をつくような、なお寝苦しくなるような 梔子の仄かに白い花弁が脳裏を過ぎり それを教えた君の涼やかな声に繋がる 最近のオレの世界は、全てが君で構成されている 思い出すこと、覚えていくこと、 いつも君の笑顔と声が纏わりついて 胸を締め付けるような甘さと 噛み締めるような苦さが交じっていく 柔らかく香り立つ花を握り潰してしまうように 君を想う心を潰してしまえればいい そうすればこの寝苦しい夜は、もうオレを苛まない 溶けていきそうな思考の果てに望むのは、君からの解放 それでも緩く暑さの漂う一人の部屋で、 甘い香りを締め出すこともできずに受け入れている 暑いだけの夜はまだ続く、それに少しだけホッとして 甘くて苦い寝苦しい夢を引き寄せる…… |