全てを焦がす勢いで燃え盛る太陽が、微かな残滓を残して沈んで久しい。 今はただ静寂と僅かに涼を齎す漆黒の夜が、君ごとこの空を覆っている。 漆黒だけが佇む空を、待ち侘びた様子で見上げる君の横顔。 夜に沈んだ世界の中、唯一オレに希望を見せてくれる灯火。 誘うように揺れ、拒むように震え、求めるように手招く姿。 それは誰よりも強く、激しく、オレを惑わせる夜に煌く炎。 手を伸ばそうとしたオレを諌めるように、低い轟音が貫いた。 君の目が輝いて、夜空に鮮やかに咲く華の到来を教える。 一瞬だけ弾けて花開く彩の洪水を受けて、君の笑顔がまた輝く。 暑い空気に華やぎを添えながら儚く消えるどの華よりも、 君の笑顔のほうがどれほどにオレを捉えて離さないだろう。 何も知らず無邪気に微笑み、空だけを見ていられるのも今のうちだぜ? きっと君はオレしか見えなくなる……、 もはや君しか見えないオレと同じように、な。 オレの心を捉えた代償は大きいぜ? この夏よりも熱い夜を覚悟しておくんだな、お嬢ちゃん。 |